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昨夜見た夢。

地下の家族

 

深夜、家の中は静寂に包まれていた。微かに聞こえるのは、愛猫ミーと福の寝息だけだ。そう思っていた、その時だった。

古い床下から、「ニャー」という、聞いたことのない鳴き声がした。そして、もう一つ。目をこすると、ミーと福の後ろに、見慣れない2匹の猫が立っているのが見えた。

1匹は夜空を切り取ったように真っ黒で、月の光が当たると、毛並みが星のように光って見えた。もう1匹は雪のように真っ白で、その瞳は透き通った青色をしていた。4匹の猫たちは、古い床下へと続くわずかな亀裂へと、静かに消えていった。

床の亀裂から覗き込むと、そこは単なる縁の下ではなかった。埃とカビの匂いが混じった暗闇の奥に、白黒テレビとちゃぶ台が置かれた、まるで時間が止まったかのような昭和の家が広がっていた。

人の気配はしない。しかし、人間が住んでいないはずの場所に、猫たちがいる。この家は、彼らのものなのだと直感した。

その時、猫たちと一緒に、1匹のネズミが床下から出てきた。猫とネズミは、本来なら敵同士のはずだ。しかし、彼らはまるで仲の良い友だちのように、同じ場所から現れた。

このネズミを害獣だと思い、捕まえて焼き殺してしまった。

しかし、その死骸を見ると、毛並みは焦げることなく、驚くほど艶やかだった。まるで、常に誰かに舐められ、大切にされていたかのように。

その時、4匹の猫たちが目の前に現れ、悲しみと失望の色を宿した瞳で、こちらを見つめていた。自分の過ちに気づき、ひたすら彼らに謝罪した。

「ごめん、ごめんなさい……。命の重さを知らなかった」

猫たちは、静かに、しかし深く悲しむように、見つめ、そして、ネズミの死骸の周りに集まった。彼らは、まるで祈りを捧げるかのように、厳かで、神聖な鳴き声をあげた。

すると、ネズミの死骸から、淡い光が放たれ始めた。光は、徐々にネズミの形へと収束していき、光が消えた時、そこには、何事もなかったかのように、元気な姿のネズミが立っていた。

ネズミは、心に直接語りかけてきた。

「命は、目に見えるものだけではない。命は、感謝され、愛されることで、何度でも再生する」

その言葉に、胸を締め付けられるような痛みを感じた。そして、ネズミと猫たちが、この地下の家に住む**「家族」**だったのだと悟った。

その瞬間、地下の家は光に包まれ、建築業者とともに元の世界へと戻された。

床の亀裂は、元の床へと戻り、何もなかったかのように見えた。友人たちは、地下の家の存在を信じて駆けつけてくれたが、もう見ることはなかった。

それは、まるで夢のできごとだったのかもしれない。しかし、その夢は、現実世界で気づくべき、大切な真実を教えてくれた。

夢から覚めた後も、ミーと福を見る目が変わった。彼らは、ただのペットではない。彼らは、家族であり、大切なことを教えてくれた、かけがえのない存在だ。

あの夜の夢は、忘れられない物語となった。そして、その物語は、人生を、より深く、より豊かなものへと変えていった。

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