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2040年、僕はもういないと思うけど。

2040年に向けて考える、「生きやすさ」の形―誰もが支え合える未来のために

 

今日は、少し立ち止まって、私たちが生きる社会と、心の問題、特に「自死(自殺)」について考えてみたいと思います。

とても重く、言葉にするのが難しいテーマかもしれません。しかし、誰もが時には「生きづらさ」を感じる今だからこそ、約15年後の2040年には、もう少し皆が息をしやすい社会になっていてほしい。そんな願いを込めて、未来の姿を想像してみます。

 

今、私たちが感じていること

 

日本の年間の自殺者数は、以前に比べれば減少傾向にありました。社会全体で様々な取り組みがなされてきた結果だと思います。しかし、ここ数年は下げ止まり、特に未来を担う若い世代が深い悩みを抱えている現状は、とても気がかりです。

社会の中に、目には見えない「生きづらさ」が確かに存在しています。

 

2040年の日本、そして「つながり」の変化

 

2040年頃の日本は、人口構成が大きく変わると言われています。高齢の方が増え、一人暮らしの世帯が増加すると予測されています。

これは、家族や地域の形が変わり、私たちが誰かを頼ったり、頼られたりする機会が減っていくかもしれない、ということを意味します。ふとした時に不安を感じた時、気軽に話せる相手がそばにいない「孤立」は、心の健康にとって大きなリスクになり得ます。

 

未来への希望:テクノロジーがもたらす「寄り添い」

 

しかし、未来には明るい変化の兆しもあります。特に期待されているのが、AI(人工知能)などのテクノロジーの進化です。

2040年には、テクノロジーがもっと私たちの心に寄り添ってくれるようになるかもしれません。

例えば、AIが日々のちょっとした変化からストレスのサインをそっと教えてくれたり、誰かに話を聞いてほしい時に、24時間いつでも優しく応えてくれるチャットボットが普及したり。専門家に相談する前の、最初の一歩を助けてくれる存在になるでしょう。

 

繋がらないSOSをなくすために

 

現在の相談窓口は、献身的なスタッフの方々によって支えられていますが、相談の多さに対して人手が足りず、電話が繋がりにくいことがあります。勇気を出して助けを求めたのに「話中」で繋がらないのは、とても辛いことです。

ここにこそ、AIの力を借りる意味があります。AIであれば、いつでも、何人からでも、同時に話を聞くことができます。「必ず繋がる」という安心感は、それだけで大きな支えになります。

 

大切なのは「AIと人の連携」

 

大切なのは、AIが人間に取って代わるのではなく、お互いの得意なことを活かして連携することです。特に、AIによるトリアージ(緊急度の見極め)は、限られた人的リソースを最大限に活かす鍵となります。

理想的な連携の形はこのようなものでしょう。

  1. まずはAIが優しく受け止める: いつでも必ず繋がり、まずはじっくりと話を聞いてくれます。「こんなこと話しても大丈夫かな」という不安を感じることなく、気持ちを吐き出すことができます。

  2. AIが状況を見極め、橋渡しをする: AIは対話の中から、どれくらい緊急性が高いかを冷静に見極めます。

  3. 必要な時には、人の専門家へ: 「すぐに専門家のサポートが必要(重篤である)」と判断された場合は、スムーズに人間のカウンセラーなどにバトンタッチされます。

この仕組みがあれば、人間の専門家は、本当に深いケアが必要な方に集中できます。AIは、人間の温かい支援を、それを最も必要としている人に確実に届けるための「架け橋」となるのです。

 

小さな工夫で、もっとアクセスしやすく

 

テクノロジーの進化と並行して、今ある仕組みを少し見直すことも大切です。

例えば、相談窓口の電話番号。現在使われているナビダイヤル(0570)は、スマートフォンの「かけ放題プラン」の対象外であることが多く、通話料がかかります。経済的な悩みを抱えている方にとっては、これが相談をためらう理由になってしまうかもしれません。

もし、通常の市外局番の電話番号(0ABJ番号、東京なら03など)であれば、多くの人が料金を気にせず、安心して相談に集中できるはずです。

SOSを出すための「入り口」にあるハードルをできるだけ低くすること。こうした細やかな配慮が、安心感につながります。

 

誰もが「助けて」と言える未来へ

 

2040年、自ら命を絶つ選択をする人の数は、今よりもずっと少なくなっている(激減している)はずです。それは、私たちが「どのような社会を望むか」にかかっています。

テクノロジーの力を正しく使い、誰もが取り残されないセーフティネットを築くこと。そして何より、私たち自身の意識を変えていくこと。

心が疲れた時に、気軽に「助けて」と言える文化。デジタルな繋がりと、リアルな繋がりの両方を大切にし、お互いを思いやる気持ち。

未来は予測するものではなく、皆で創っていくものです。一人ひとりが「生きやすい」と感じられる2040年に向けて、今、私たちにできることから始めてみませんか。


【相談窓口のご案内】 もし、今、辛い気持ちを抱えているなら、どうか一人で抱え込まず、相談窓口を頼ってみてください。

  • よりそいホットライン(24時間対応・通話無料): 0120-279-338

  • いのちの電話: 0570-783-556 (ナビダイヤル) または 各地域のいのちの電話

  • こころの健康相談統一ダイヤル: 0570-064-556

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