プロの料理人はなぜ自分の料理を食べない?
一流の料理人が、自分が作った料理を食べなくなるのはなぜでしょう?
「もう飽きたから?」
そんな風に思うかもしれませんが、本当の理由は違います。それは、彼らにとって料理が「作品」だからです。
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味見でお腹いっぱい
料理を作る中で、何度も味見をします。その一口一口で、味のバランスを確かめています。完成する頃には、もう十分味を把握しているので、改めて食べたいとは思わないのです。
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次の料理に夢中
一流の料理人は、常に新しい味を追い求めています。一つの料理が完成すると、すぐに「次はどうしようか」と、次の作品づくりに頭が切り替わります。
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厳しくチェックするから
彼らは、自分の料理を「最高においしいか?」という目で見ています。楽しんで食べるというよりも、改善点を探すのが仕事なので、純粋に味わう気持ちになりにくいのです。
これは、自分の作ったパンを食べないパン職人や、自分が淹れたコーヒーをすべて飲まないバリスタも同じ。料理を「消費する」ことよりも、「より良いものを作る」ことに集中している証拠です。
なぜか痩せている料理人たち
脂っこい料理を出すお店の料理人が、なぜか痩せているのにも理由があります。
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仕事はかなりの肉体労働
高温の厨房で長時間立ちっぱなしで、重い鍋を運んだり、ずっと動き回ったりしています。これは想像以上にカロリーを消費する重労働なのです。
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食べるのは一口だけ
料理人が口にするのは、食事ではなく、味見のための「一口」です。高カロリーな料理でも、提供する側と食べる側では、口にする量が全く違います。
お客様に最高の料理を届けるという情熱が、彼らを支えているのです。
蕎麦職人のこだわり
ある蕎麦職人は、温かい蕎麦をメニューに加えたいと悩み続けています。温かいつゆにはサバ節を使うのが一般的ですが、サバアレルギーのお客様のことを考えると、安易には使えません。
「お客様に安全なものを提供したい」
その誠実な思いから、この職人はメニューを増やすことを諦めました。
しかし、その悩みから生まれたのが**「真っ白いかつ丼」**です。
卵を使わないソースかつ丼にすることで、卵アレルギーの人でも安心して食べられるようにしました。さらに、米粉のパン粉を使うことで、グルテンフリーにも対応。
蕎麦は、余計なものを加えない**「引き算」の料理**です。
無理にメニューを増やすのではなく、本当に良いものを突き詰める。その姿勢こそが、お客様に最高の一杯を届ける秘訣なのです。